2022年09月29日
誰かの生活によりそい、その人の暮らしを静かに眺めてきたヴィンテージ家具。今では貴重なチーク材のダイニングテーブルは、家族の楽しげな会話を聞いていたのかもしれません。テーブルの小さな傷にも、何かストーリーがあるのかも。そんなロマンや人の手を経た温もりがあり、なにより現代にはないデザインであることが、ヴィンテージ家具を手に入れる楽しさです。
「海外では、モノを引き継ぐ、という文化が根付いています。代々残していくため丁寧に使う。だから古い家具も綺麗な状態で現代に残されているんですね」。そう話すのは店長の日高かやさん。ショップでは状態の良い、50年、100年以上を経たヴィンテージやアンティークの北欧家具を中心に揃えています。ダイニングセットなど大型家具から、小さなミシン台までさまざまに並び、どの家具も日高店長の言葉どおり、何世代にも亘って使えるよう作られたため、とても頑丈です。またデザインに日本の影響も受けた北欧家具は、日本の生活スタイルにすっとなじむのも魅力。そんな数々の名作家具はショップで細やかにメンテナンスされ、次に使ってくれる人を待つばかりです。
デザインには理由がある
日照時間が少ない北欧で、冬や夜に手仕事をするための家具など「家具の面白さは、デザインや使われている木材からもその国の文化や歴史が読み取れることです」。海をはるばる越え、この店に来た家具にまつわる話を日高さんから聞いていると、時間があっという間に過ぎます。「ここで出会いお買い上げいただいた家具は、メンテナンスや修理も承っています。愛着をもって永く使い、また次世代へ引き継いでくださると嬉しいですね」。
なかでも希少なのはアジアから入手したチーク材で作られた北欧家具。ウォールナット、オークと並んで世界三大銘木と呼ばれるチークは、とても硬くゆがみにくい木材です。家具向きの強靭さや、大きな杢目の面白さもあって「1950年代後半から1960年代の北欧家具はチークばかり」というほどチークを使った家具が多く作られました。しかしその後、ワシントン条約により天然林の伐採禁止や輸出入に規制がかかり、当時のチーク材を使った家具は大変貴重なものとなっています。
ほかにもデザイン王国のデンマークらしい、カイ・クリスチャンセンの「№42」といった今では入手しにくい名作チェアなども、ショップで出会えるかどうかは運次第。一期一会の運命的な出会いがあるのも、ヴィンテージ家具の面白さといえるかもしれません。ひょっとしたら自分の年齢よりも年を経た家具と出会い、共に生き、次世代に引き継ぐ。そんな家具との新しい向き合い方をこのショップが教えてくれます。
〈写真左〉日本の影響も受けた1960年代の北欧家具は、日本の陶芸家 前川幸市氏の作品を置くと不思議に調和。
〈写真右〉キリムのクッションカバーやラグ。
デンマークの家庭には必ずあると言われる、デンマークを代表するデザイナー ビヨン・ウィンブラッドのプレートなどコレクションしたくなる雑貨もたくさん。
ヴィンテージ家具、雑貨
北欧.Style+1 ANTIKAとモダン.
HOKUOU Style+1 ANTIKA&modern
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