2022年09月09日
「着るか、着られるか」。この言葉はスーツ・シャツのオーダーサロン「マッセアトゥーラ」のオーナー、柳瀬博克さんが常に自身にもお客様にも問いかけているこだわりです。既製服と違い、テーラーメイドはお客様とテーラーが話し合いながら、ゼロから二人三脚で作り上げるもの。値段も決して安くはありません。だからこそ注文する人はTPOやライフスタイル、体型や好みを考慮し、単に「着る」のではなく「いかに着こなす」のかを考えることに。そして柳瀬さんはその希望を型紙に起こして縫い上げ、理想の服を具現化していきます。「肉体をどう再構築するか考えながらなので、採寸というより『創寸』です」。
細かく採寸しミリ単位で調整しながら縫い上げた服は、着る人の体型の長所を生かし、短所はカバーする仕上がりに。体にフィットしているので長時間着用しても着崩れせず、端正なシルエットをキープできるのが、柳瀬さんの作る服の真骨頂です。
長年着用すると可動部分の生地は柔らかくなります。さらに手縫いだと縫い目も可動部分は柔らかく、動きの少ない部分は目がつまり、丈夫かつ着心地が良くなっていきます。自分の動きについてくるように馴染み、精神的にも寄り添うように思えるのが「マッセ アトゥーラ」の服の持ち味。
「体や気持ちにフィットする服作りはもちろん、若い頃の失敗から学んだのは、服は仕事の成功不成功を左右するということ。だから僕は着る人のTPOやビジネスシーンに合わせて服をアジャストする役目も担っていると自覚するようになりました」。スーツの場合、経営者同士の会合用なのか、夜用なら接待する側かされる側なのか。様々な角度から細かく聞く柳瀬さんの姿勢を通して「今まで考えてもいなかった観点からものを見ることを覚えた」と自身の仕事への意識が変わったと言う人もいるほど。また、こだわりぬいて仕立てた服のために健康や体型維持に気を配るようになる人も。テーラーメイドの服とは、自分が意思を持って作った服を着る喜びがあることを教えてくれる柳瀬さん。共に、とびきりの一着を誂えてみてはいかがでしょう。
生地や製法で表情を変えるテーラーメイドの面白さ
生地選びはテーラーメイドの醍醐味。同じ色柄の生地でもパリッと見えるイギリス製、ふわっと柔らかに見せるイタリア製、と仕立て済みの服を見せてでき上がりのイメージを補完してくれる柳瀬さん。また服の裏でシルエットの美しさを保つ芯地ひとつをとっても、動きやすさを考えて縫うなど、見えない部分に手間を惜しまない姿勢が「柳瀬さんの服でないと」と信頼される理由です。
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