2023年02月16日
その断面の、宝石のような美しさを見ると、誰もが思わずはっとするでしょう。「覚王山フルーツ大福 弁才天」の店頭には、季節のフルーツ大福が常時12、13種類ほど並びます。あまおう、りんご、完熟マンゴー、シャインマスカット、ゴールドキウイ、桃、マスクメロン、すいか、温州みかん、無花果、完熟パイン、柿……。旬によってラインナップを少しずつ変えながらも、とれたての果物を、そのままいただく以上の「フルーツらしさ」を感じながら味わえるのが、このお店のフルーツ大福なのです。
「当店のフルーツ大福は、和菓子としての完成度はもちろんのこと、とりわけ果物の魅力を追求するために生まれたといっても過言ではありません。フルーツ本来の味を引き立てる、白餡と求肥との黄金バランスを試行錯誤を繰り返しながら探求してきました」と、店長の向﨑茂子さん。
主役となるフルーツは、新鮮で、形ぶりがよく、適度に熟しているものを厳選。すべて担当のスタッフが毎朝市場へ出向き、その目で品質を見極めて仕入れています。りんごなどいろいろな品種が出回る果物は、フルーツ大福にした時の味のバランスを考慮しながら最適なものを選んでいます。
フルーツを包む求肥は、高級羽二重粉を使用。保存料は一切使わず、フルーツそのものの甘さを引き立たせるために、口当たりの柔らかさを保つギリギリまで砂糖をひかえて、お米本来の上品で素朴な甘味を感じられるように仕上げています。また、白餡も甘さを最小限に抑え、白豆本来の素材の風味を感じられるように作り上げています。和菓子の世界では主役ともいえる餡ですが、このお店のフルーツ大福の場合は目立ちすぎずに役目をきっちりと果たす名脇役に徹しているのが特徴です。
そして、忘れてはならないのがフルーツ大福の断面美を演出する“餅切り糸”です。「きれいな断面を楽しんでいただくため、また皆でシェアして食べていただくため“餅切り糸”をお付けしています。どなたでも扱いやすく、家庭用の包丁を使うよりも簡単に、きれいに切れますよ」と、向﨑さん。白い大福餅から、宝石のように美しい断面が現れる瞬間の感動が、おいしさと食の喜びをますます高めてくれます。
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