2023年02月16日
「コテラック」のデザイナー、ラファエル・カヴァリは、伝統的な繊維のまちとして知られるフランスのリヨンでアートを学び、テキスタイル技術を身につけてキャリアをスタートしました。のちに「コテラック」の社長となり、彼女の夫ともなったピエール・ベルノとは80年代に出会い、ともにブランドを創ることを決意。1993年に、美しい湖と山並みに囲まれたフランス東部のまちナントゥアにアトリエを構えて、自由で斬新なコレクションを発表します。初コレクションはみごと大成功し、熱狂的な支持を受けました。
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「ラファエル・カヴァリは本質的にアーティストであり、洋服を単に商材として見るのではなく、表現として真面目に向き合うタイプのデザイナーです。そのため、マスメディアにはほとんど顔を出さず、地道にクリエーションを積み重ねてきました」と、店長の浅野彰さん。
「コテラック」の評判は、そのボヘミアンなスタイルに魅せられたファッションフリークや、本当のおしゃれを知っているハイセンスな人々によって、ほぼクチコミだけで時間をかけて少しずつ広がってゆきました。その後誕生したカジュアルラインの「アコテ」も含め、現在ではフランスを中心に全世界で80店舗以上を展開するブランドにまで成長しました。
「コテラック」の洋服にはたくさんの魅力がつまっています。遊び心いっぱいのデザイン。ありそうでない色合い。“旅と冒険と自然”をモチーフにしたプリントは、おおらかで、どこか懐かしく、テキスタイルを自身のルーツとするカヴァリのエスプリを惜しみなく伝えてくれます。
その独創的なプリントを作り出し、見事に活かしきる特殊な加工技術の高さも注目すべきポイントです。プリーツ加工、パターンメイク、レーザーカットなど、さまざまなテクニックを複合的に使いながら、ナントゥアのアトリエで常に実験が続けられています。
なかでも最も「コテラック」らしいのは、サブリメーション(熱昇華転写)プリントだといえるでしょう。「これは、転写紙に描かれたデザインを昇華転写機でプレスして布地に直接プリントする手法です。この手法でプリントすると布地の洗浄工程を省くことができ、廃液を出しません。まさに今の時代に求められているサステナビリティを体現していますが、「コテラック」ではこの手法をブランドの初期から意識的に使い続けているのです。それは、人も自然の一部だと考えるラファエル・カヴァリの哲学に通じるものです」と、浅野さんも力をこめて語ります。
さらに、ペットボトルなどのプラスチック廃棄物から抽出したPETをリサイクルしたポリエステル、紡績工場で廃棄された裁断くずや落ち綿を集めて作ったリサイクルコットンなど、環境への負荷を軽減した素材によるアイテムを近年のコレクションでも提案しています。また、コレクションの一部にはフランスに本部を持つオーガニック認証団体の世界基準といわれる「エコサート認証」素材を使用するなど、SDGsに向けたさまざまな取り組みを実施しています。
代表的な素材であるポリエステル・プリーツを含めてほとんどのアイテムがホームケアでき、シワになりにくく、お手入れが簡単であることも人気の秘密。軽くて伸縮性のある素材が多く、立体裁断を主流としているので着心地の良さも抜群です。「手にとってみて気になった商品は、ぜひご試着ください。“見る”と“着る”とではイメージがまったく変わります。特にサブリメーションプリントは、洋服に袖を通していただいてこそ、良さが理解できると思います」と、浅野さん。
すべてが独自のインスピレーションでまとめあげられ、新しいスタイルを作り上げている「コテラック」と「アコテ」の洋服。その着こなしには正解も不正解もありません。おしゃれは十人十色。頑張り過ぎず、スタイルや年齢などにもとらわれず、肩の力を抜いて自由に楽しんでください。
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