料理がひときわ引き立つような、洗練されたデザインが光る器の数々。多くの料理人を魅了するヨーロッパ・トップメーカーのテーブルウェアが美しく並ぶ店内。「ヴェール」は、世界の食のプロに愛され信頼されるハイクラスな食器を販売するセレクトショップです。

2018年にオープンしたハービスPLAZA ENT店には、有名店のシェフご自身が、メニューやゲストを頭に思い浮かべながら、それに相応しい食器を求めて足を運ばれることが多いそう。料理人にとって、すぐれた器との出合いは良い食材や生産者と巡り合うのと同様、大切なことに違いありません。

「前菜に使うのか、メインか、それともデザートか。ポーション（ボリューム）はどの程度か。シェフが思い描くイメージを詳しくお聞きし、可能な限り意に沿う商品を選び、ご紹介するのが私たちの仕事です。想いにお応えできるよう、常に商品知識を深めておくよう心がけています」と、店長の切東しのぶさん。

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透明感のある表情豊かな仕上がりは、フランスの一流ホテルのシェフからもニーズがあるなど、高い人気を得ています。帰国した若いシェフが「憧れていた器をやっと購入できます」と来店されることもあるそうです。

「ヴェール」の出発点は、1954年、神戸・三宮で創業した「森山硝子店」。当初は、一般のお客様を対象にグラスや洋食器を販売する、いわゆる〈街の食器屋さん〉でした。現代表取締役社長・森山典賛氏が、創業者である父親から事業を受け継いだ後、ヨーロッパの一流ホテルで使われている上質な白い食器を日本に紹介したいと、1985年、神戸にショールームを開設。1995年には東京・恵比寿にセレクトショップをオープン。2012年、パリに欧州事務所を設立して対ヨーロッパの輸出入業体制を整えると同時に西日本のニーズをフォローする直営店を大阪に設置。その後ハービスPLAZA ENTに移転し、現在に至ります。

ショップで取り扱っているのは、フランスの業務用磁器のパイオニア「ピリヴィッツ」やリモージュを代表する「ジャン・ルイ・コケ」。さらにドイツ・マイセン磁器の流れを汲む「シェーンバルド」、英国王室エリザベス女王Ⅱ世御用達にもなったポルトガルの磁器メーカー「ビスタ・アレグレ」など魅力ある器ばかり。伝統技術を受け継ぎ、妥協のない品質と洗練されたデザインでヨーロッパの食のプロたちに愛されてきた老舗ブランドが中心です。

創業当時、日本は装飾性の高い器の人気が高く、シンプルな白い食器は、ほとんど見向きもされなかったそうです。1994年頃から外資系ホテルの参入が相次ぎ、グリル料理を白い大皿で提供するというスタイルがブームに。さらにフランスで修業した日本人シェフたちが続々と帰国したことも追い風となり、「ヴェール」を訪れるお客様が急増したといいます。

現在は、グラスウェアを扱う会社としての50年の経験を生かし、オリジナルブランド「MORIYAMA」の展開に力を入れています。型にはめて成型するプレス式ではなく、職人の手仕事の温もりを感じられる吹きガラスの器は、僅かに異なる厚みやサイズ、気泡（アクア）の趣が個性となって料理をいきいきと引き立てます。

「一枚の器が、食卓の空気をパッと変えることもあります。ぜひお店に来て、料理を引き立て、家族の笑顔を生み出す器との出合いを楽しんでいただければ幸いです」。